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ネオクラシックの革新──GSX-8Tが提示する「過去と未来の融合」

スズキが2025年夏から欧州や北米を皮切りに展開する新型ストリートバイク「GSX-8T」は、往年の名車T500“Titan”を彷彿とさせるネオクラシックなデザインに、最新の電子制御技術と現代的な走行性能を組み合わせた意欲作です。特に目を引くのは、スズキ初となるバーエンドミラーと、1960~70年代のオートバイにインスピレーションを受けたフラットボトム形状の丸型ヘッドライト。クラシカルな造形美に、モダンな空気感がうまくブレンドされています。
クラシックとモダンの融合
GSX-8Tを見てまず感じたのは、その「本物感」。
特にフューエルタンクの造形とマットブラックの車体後方のコントラストは、まるでビリヤードの“エイトボール”を彷彿とさせる大胆なエンブレムデザインと相まって、まさにネオクラシックの真骨頂。
GSXシリーズに求められるスポーツマインドも確実に継承されています。
ボディサイズと足つき──万能感のある中間排気量モデル

GSX-8Tのボディサイズは全長2,115mm、全幅775mm、全高1,105mmで、ホイールベースは1,465mm。
シート高は815mmとこの大型クラスとしては標準的で、身長170cm前後のライダーであれば不安なく両足が届く設計です。身長が160cm台では踵まではつかないでしょう。
装備重量は201kgと、ツーリングでも街乗りでも扱いやすい絶妙なバランス感。
航続距離の余裕が嬉しい
特筆すべきは、16.5Lという大容量燃料タンク。中間排気量クラスでは15L前後が主流なので、この“+α”は非常にありがたいポイントです。燃費はWMTCモードで23.8km/L。単純計算でも370km近い航続距離が期待でき、ガソリンスタンドを気にせずツーリングに没頭できる安心感があります。
新開発776ccエンジン──軽快な並列2気筒の鼓動感

エンジンは776cc水冷4ストローク並列2気筒DOHCユニットを搭載。270度クランクによりパルス感を演出しており、低回転から高回転までトルク感と吹け上がりの両立が図られています。Euro5+対応の2-into-1排気システムやクロスバランサーの採用により、スムーズかつ力強いフィーリングを実現。
新開発エンジン?
このGSX8TのエンジンはGSX8Sなどと同じようで違う?エンジンのようです。
前に出ているGSX8シリーズのエンジンは775ccで1cc小さいですが、圧縮比の数値は同じ。ですが燃費は23.4km/Lで若干劣っています。
元は同じエンジンで、ちょっとチューニングをいじっているのでしょうか。
先進電子制御でライディングをアシストするS.I.R.S.
GSX-8Tは、スズキのインテリジェントライドシステム「S.I.R.S.」を採用。出力特性を3モードで切り替えられるSDMS、トラクションコントロール(3モード+OFF)、双方向クイックシフター、イージースタート、ローRPMアシストなど、最新の制御機能が詰め込まれています。
操作性と安心感のある走りを実現
実際にS.I.R.S.の機能に触れると、街乗りからワインディング、ロングツーリングまで、あらゆる場面で“バイクがサポートしてくれる”という感覚が明確に得られます。電子制御が自然に介入し、快適な走行ができる安心感は、このクラスのバイクとしては非常に高いレベルです。
足まわりの装備も上級──コントロールと制動力が高次元

足まわりには、KYB製の倒立フロントフォークとリンク式リアサスペンションを搭載し、俊敏かつしなやかなハンドリングを提供。
ホイールはキャスト製で、DUNLOP SPORTMAX Roadsport 2タイヤ(前120/70ZR17、後180/55ZR17)が標準装備。特に注目したいのは、デュアルラジアルマウントフロントディスクブレーキです。
高性能ブレーキで安心のストッピングパワー
このクラスのバイクでは片押し2ポットキャリパーが標準のこともありますが、GSX-8Tはしっかりとしたニッシン製のラジアルマウントキャリパーを採用。ブレーキ性能も抜かりなく、軽快な走りだけでなく安全性にも配慮されているのが好印象でした。
最新装備とインターフェース──ライダーのための情報設計

GSX-8Tは、5インチのフルカラーTFTディスプレイを採用。スピード、タコメーター、ギアポジション、モード表示などが視認性高く配置され、先進的なルックスも魅力。デザインの一部としてもこのメーターが全体の印象を大きく底上げしています。
充実の電装系で使い勝手も向上
USB Type-Cソケットによる急速充電機能や、軽量で信頼性の高いELIIY Power製リチウムイオンバッテリーの標準搭載も見逃せません。このバッテリーは始動性が高く、寒冷地や長期保管でも安心。特にこのクラスのモデルに標準でリチウムイオンバッテリーが搭載されているのは非常に珍しく、軽量化による運動性能向上にも寄与していると感じます。
総評──100万円級の価値はあるのか?GSXブランドの期待と価格感

GSX-8Tは、600〜800ccクラスの中間排気量モデルとして、性能・装備・デザインのすべてがハイレベルにまとまった1台です。一方で、SV650の836,000円(10%税込)と比較すると、GSXブランドを冠し、最新技術と装備を搭載したこのモデルは、100万円に近い価格になる可能性も高そうです。
上級グレードとなるGSX8Sと、その下のSV650の間を埋める微妙な立ち位置ながらも、ネオクラシックなスタイリングに先進技術を加えた「GSX-8T」は、見た目で選ぶも良し、機能で選ぶも良し。
価格以上の価値を求めるライダーには、確かな満足を与えてくれるモデルと言えるでしょう。
皆さんの参考になれば幸いです。
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