American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquer、2002年製の山野楽器扱いのストラトキャスターを購入しました。
American Vintageシリーズの魅力は、一目見ただけで感じるヴィンテージ感と、手に取った瞬間に広がる豊かなサウンドにあります。
本記事では、このギターの特長やスペック、魅力を徹底解剖し、その真価を明らかにします。手に入れたモデルは2002年モデル。ヴィンテージフェンダー好きなら一度は憧れるこのモデル。
なぜ今もなお多くのプレイヤーに愛され続けているのか、その理由を探っていきましょう。あなたのギタープレイに新たなインスピレーションをもたらす一台、American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerの魅力に迫ります。
スペックやサウンドの魅力をレビューしていきますので、あなたもこのギターの虜になること間違いなしです。
ぜひ、最後までお楽しみください。
目次
Fender American Vintageシリーズの歴史
Fender American Vintageシリーズは、フェンダーが誇るヴィンテージモデルを、当時の仕様に可能な限り近づけて復刻したシリーズです。歴史的なモデルを現代に蘇らせ、ヴィンテージギターのサウンドやプレイアビリティを追求したいプレイヤーから高い人気を集めています。
誕生の背景と歴史
- 1982年:「U.S Vintage Series(ビンテージ・シリーズ)」の誕生 80年代のビンテージ・ギターブームを受け、フェンダーは’57ストラトキャスター、’62ストラトキャスター、’52テレキャスターといったアイコニックなモデルを復刻した「ビンテージ・シリーズ」を発表。
- 1998年:「American Vintage Series(アメリカン・ビンテージ)」へ改名 シリーズの再編に伴い、「アメリカン・ビンテージ」と改名。
- 2012年〜2018年:ニュー・アメリカン・ビンテージ・シリーズの登場 よりヴィンテージに近づけるため大胆な仕様変更を実施。
- 2022年:アメリカン・ビンテージIIの登場 さらに進化を遂げ、細部に至るまで当時のスペックを再現した「アメリカン・ビンテージII」が登場。
シリーズの特徴
- ヴィンテージスペックの徹底再現: ネックシェイプ、指板ラジアス、フレットサイズ、ピックアップなど、当時のモデルの細かな仕様を忠実に再現。
- 厳選された木材: アルダーやアッシュなど、ヴィンテージモデルに使用されていた木材を厳選し、当時のサウンドを追求。
- 熟練のクラフトマンシップ: 熟練のクラフトマンが一つひとつ丁寧に組み上げ、高い品質を保証。
指板の丸みの数値であるラジアスは、7.25ラジアスを採用。この丸みはフェンダーのモダンスペックやカスタムショップでもあまり見ませんが、このアメリカンヴィンテージシリーズには採用されています。
最近は9.5Rが一番多いですよね。
山野楽器特注 シンラッカーシリーズとは?
山野楽器は、2001年よりフェンダーのアメリカンヴィンテージシリーズをベースに、独自の仕様を加えた特注の「シンラッカー」シリーズを展開していました。このシリーズは、それまでのトップラッカー仕様のアメリカンヴィンテージシリーズよりも、よりヴィンテージギターのサウンドやルックスを追求したモデルであり、プレイヤーやコレクターから高い人気を集めています。
シンラッカー塗装とは?
シンラッカーとは、ニトロセルロースラッカー塗装のことで、薄く繊細な塗装が特徴です。ヴィンテージギターによく見られる塗装方法で、木の鳴りを生かし、経年変化による独特のエイジングを楽しむことができます。
しかし、いわゆるトップラッカーで、オールラッカー塗装ではありません。
ただし、そこは山野楽器の特注モデル。下地はラッカーではありませんが、その上の多くの工程をラッカー塗装とし、ラッカーの範囲を通常のトップラッカーよりも広げて、なおかつ薄いラッカーを実現しています。
まさに特注品ですね!
なぜ人気なのか?
- ヴィンテージサウンド: シンラッカー塗装とヴィンテージ感溢れるパーツの組み合わせにより、ヴィンテージギターのような豊かな鳴りと温かみのあるサウンドを実現しています。
- ルックス: 薄いラッカー塗装による経年変化を楽しめるだけでなく、ヴィンテージスタイルのデザインも魅力です。
- 希少性: 現在中古市場ではあまり多く出回っていません。特にローズウッド指板の62タイプはほとんどありませんので、他のプレイヤーと差をつけたいという方にもおすすめです。
- 魅力的な価格帯:最新のアメリカンヴィンテージⅡは30〜40万円くらいしますが、より薄いラッカー塗装というスペックで中古で20万円台で購入することができます。
シンラッカーかどうかの見分け方
ネックジョイント部分か、スピリング裏に「YAMANO」の印字が入っていたらシンラッカーモデルです。
実際の質感はどうか?
実際に手に取ってみると、程度の良いものを手に入れたからなのか、オールラッカー塗装のヴィンテージ感は強くなく、ウレタン塗装寄りの艶がある感じがします。
木材スペック
American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerは、その美しいデザインと優れた構造で多くのギタリストを魅了しています。このセクションでは、ギターの外観と内部構造に焦点を当て、その魅力を掘り下げます。
ボディの材質と形状
- アルダー材:軽量でありながら豊かなトーンを提供。
ネックとフィンガーボード
- 指板材:スラブ貼りローズウッド
- ネック材:メイプル
- ネックシェイプ・フィニッシュ:“C” Shape,Nitrocellulose Lacquer
- フレット:21フレット・ヴィンテージスタイル
- スケール:648mm
- ラジアス:7.25R
フィニッシュの特徴
- フィニッシュ:Nitrocellulose Lacquer
- 薄いラッカーフィニッシュ:ビンテージ感を保ちつつ、ギターの音響特性を向上。
- 下地はラッカーではない、いわゆる「トップラッカー」だが、その上のラッカー塗装は極薄という仕様
ヘッド・ペグタイプ
ヘッド形状はスモールヘッド。
ちなみにスモールヘッドは54年〜65年まで採用されています。
また、1弦、2弦には羽型のストリングガイドがついています。1956年以降のストラトはその前の丸型から羽型(バタフライ型)へと変更になっています。
弦に角度をつけることで、テンションが弱くなりやすい1、2弦のテンションを高める役割があります。テンションが弱いとナットから弦が外れたり、弾きづらかったりします。
裏のペグ形状は「クルーソンタイプ」です。
スラブ貼りローズウッド指板の魅力
American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerの特長の一つは、そのローズウッド指板にあります。
1962年のストラトキャスターのスペックを再現したモデルの指板はスラブ貼りローズウッド指板となり、1957の場合はワンピースメイプル指板となります。
このセクションでは、ローズウッド指板の魅力に焦点を当て、その特性と利点を紹介します。
スラブ貼りとは?
スラブ貼りローズウッド指板は、ヴィンテージギター、特に59年から62年製のフェンダーストラトキャスターなどで見られる指板の製法です。この製法には、現代のラウンド貼りとは異なる魅力が数多く存在します。
ラウンド貼りよりも厚みのあるローズウッドが貼ってあるため、太く甘い音色となるのが特徴です。
スラブ貼りローズウッド指板はローズウッド材料の分量が多いので高級と言われています。ヴィンテージタイプのモデルに採用されるため、ラウンド貼りモデルよりも数は少ないです。
ピックアップ側からネックの根本を見てみるとスラブ貼りかラウンド貼りか分かりますよ。スラブ貼りは横一直線にローズウッド指板がカットされています。
今回手に入れたアメリカンヴィンテージはネジ部分にかかるくらいローズウッドが厚く、濃厚な音が出そうです。
美しい外観と質感
- 独特の色合い:ローズウッド特有の深い茶色と豊かな木目模様は、見た目にも美しく、高級感を醸し出します。
- 滑らかな手触り:指板の表面は滑らかで、演奏中のフィンガリングがスムーズに行えます。
サウンドの特性
- 暖かみのあるトーン:ローズウッドは、メイプルに比べて暖かく豊かな音色を提供します。これにより、プレイヤーはより深みのあるサウンドを表現できます。
- バランスの取れた音域:ローズウッド指板は高音から低音までバランスの取れたサウンドを生み出し、幅広い音楽ジャンルに対応します。
耐久性とメンテナンス
- 高い耐久性:ローズウッドは硬く、長期間使用しても摩耗しにくいため、長く愛用できる指板素材です。
- メンテナンスのしやすさ:定期的なオイルケアで美しさと音質を保つことができ、手入れが比較的容易です。
ローズウッド指板の魅力を知ることで、American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerがなぜ多くのギタリストに愛され続けているのか、その理由がより明確になるでしょう。
メイプル指板はパキッとした明るい音がして、さらに使い込むと黒ずんできてそれはそれでヴィンテージ感が出てかっこいいのですが、ローズウッドはブルースのような音楽にはピッタリな厚みのあるクリーミーなトーンが出ますのでとても魅力的です。
ネックジョイント部分
ネックジョイント部分のプレートはシンプル。
特にナンバー以外の装飾はありません。
電子系統のスペック詳細
American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerの真価は、その精巧なスペックにあります。このセクションでは、ギターの細部にわたるスペックを詳しく見ていきましょう。
ピックアップ
- Fender American Vintage Single Pick Up:ヴィンテージ感のあるサウンドを再現するための特別設計。
- ピックアップ配置:ネック、ミドル、ブリッジの3つのピックアップが、多彩なサウンドオプションを提供。
セレクター
標準が3Way(おまけで5Wayが付属しているものもあるそう)※2012年以降のNew American Vintageシリーズは5Wayが標準
ブリッジとハードウェア
- シンクロナイズド・トレモロブリッジ:ヴィンテージスタイルのトレモロブリッジで、豊かなサステインと滑らかなトレモロアクションを実現。
裏にトレモロのスプリングハンガーがあります。通常は蓋がありますが、無いものも多いですね。
無いほうがかっこいい説はあります。
コントロールと電子部品
- コントロールレイアウト:マスターボリューム、2つのトーンコントロール
- 高品質のポットとスイッチ:信頼性の高い電子部品が、長期間にわたり優れたパフォーマンスを発揮。
ヴィンテージを忠実に再現したモデルのため、リアにはトーンが効きません!
これらの詳細なスペックにより、American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerは、見た目だけでなく、音質や演奏性の面でも卓越した性能を発揮します。このギターの魅力をより深く理解し、あなたの音楽体験を一層豊かなものにすることでしょう。
サウンドとプレイアビリティレビュー
American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerは、その優れたサウンドと快適なプレイアビリティで多くのギタリストを魅了しています。このセクションでは、ギターの音色と演奏性について詳しく解説します。
まずその軽さ。重量は3.5kg。4kg以上が普通のレスポールタイプと比較して圧倒的に身体への負担がありません。
2002年製で現在2024年。製造から12年も経過し、音がファッと出てきます。こなれた感じといいますか、音に堅さが無いですね。
クリーンでは、ローズウッド指板の特性もあって、ストラトキャスターならではの透明感と煌びやかさを持ちつつ、クリーミーで落ち着いた厚みのあるサウンドがします。
ネック形状はスリムなCタイプ。厚みは厚くなく、自然な握る心地です。ネックの塗装が滑らかで、さらにサイドの処理も引っ掛かりがなくストレスがありません。ポジション移動も快適でずっと握っていたいネックです。
ローズウッド指板も滑らかで、フィンガリングがスムーズ。弦高も低く設定されており、押弦しやすく、弦のテンションがレスポールと比べて低いのでチョーキングが難なくできます。
これまでレスポールタイプしか弾いたことが無かったのですが、ストラトタイプの人気の秘密がわかりました。
レスポールタイプに比べて圧倒的にパワーが必要なく、リラックスして弾くことができます。
まとめ
American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerは、その美しいデザインと塗装、優れたサウンド、そして快適なプレイアビリティで、多くのギタリストに愛され続けています。このギターの特長を振り返り、その魅力を再確認しましょう。
このギターを選ぶ理由
- 美しいローズウッド指板:滑らかな手触りとクリーミーで豊かなトーンを提供。
- シンラッカー塗装:美しく、経年変化も楽しめる極薄のラッカー塗装
- 軽量で快適なネックシェイプ:長時間の演奏でも疲れにくく、速弾きにも対応。
- まだまだ手が届く価格帯:20万円台がメインの価格帯
American Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquerは、初心者からプロまで、あらゆるギタリストにとって理想的な一台です。
数がどんどんと少なくなってきたAmerican Vintage 62 Stratocaster Thin Lacquer。
メイプル指板の57ストラトはある程度中古市場で見ますが、ローズウッド指板の62ストラトはシンラッカー以前のモデルでも品薄。
さらに塗装状態の良い個体は少なくなってきています。
2024年現在は25万円前後で購入できますが、新品のアメリカンビンテージⅡが357,500円 (税込)と高額になり、それに伴い状態の良いものであれば30万円を超えそうな傾向にあります。
気になっている方は見つけたら即買いレベルかとおもいます。
みなさんの参考になれば幸いです。