幸せってなんだろうと考える本だ。
まず残念なところとしては、前半がお金ではない人生を考えさせる内容が多く、のめり込んで読み進められるが、後半は退社し個人事業主となった際、直面したことに対しての愚痴に聞こえる点だ。もちろん会社社会である日本の闇の部分ではあるが、だったら会社やめなきゃよかたじゃん!と突っ込める余地がある論調は前半の高まった感情を冷めさせる。
実際筆者がお金について考えるようになったのは、本文から察するに40代に入ってからだろう。一流企業での金満生活を謳歌した果てのミニマムライフ推奨論である。よって若者に対して強い説得力はない。
20代、30代の心でこの筆者の言いたいことを理解できても納得できる人は少ないだろう。
なぜならまだ自分の給料が足りている、もらいすぎていると感じている人は少ないからだ。だいたいは働いている時間、労力に比べて少ないと感じている。
お金がもっと欲しい、あればもっと良い暮らしができる。そう思うのが若いということだと思う。だから悔しい出来事や、辛いことにも耐えられたりする。
だからお金があることが幸せで、お金でできることが幸せだと思い込む。
しかし、だ。
今、将来的にお金があったら欲しいものだったり、予算内なので買うか買わないか何も迷わずに買えるものがあったとする。
でも、もしそれが生きていく中で全く必要がないものだったら。
という視点を手に入れらたら生き方は変わっていくと思う。
筆者も述べているが、広い家に住みたいという動機は単純に生きていくための広さではなく、ものを置くスペースの確保が動機だったりする。
狭い家にソファーは置けない。
お金を考えなくなると雑念が生まれなくなるのは事実だ。欲しいもの、昇給、出世、投資をしていればチャートとか。そう、私たちはお金に支配されているのだ。判断基準がお金なのだ。それから解放された時、新たな時間が生まれ、そして体験が生まれる。
お金のためではなく、人とつながるために仕事をしても良いんじゃないか。
この問いが心に刺さる。