ある年が明けたある日、急に降ってきた。ロードバイクに乗ろう、乗れると。
それからインターネットで探した。
中古価格は20万弱であったが、新車価格50万円という表示を見て、予算内で買える最上のものだと判断した。もちろん憧れのフルカーボンフレーム。
店舗に即刻見に行き、決めた。
「ロードバイク」に触れるのにも初めてだったが、それ以上に足のつかない自転車に乗るのが初めてだった。不安な気持ちを今でも覚えている。
購入後、店員にサドルの高さがあっているか見るので、店の周りを回ってきてくださいと言われる。早速初乗車。
フレームにまたがってみる。
もちろんサドルは高い。
足はつま先がかろうじてつくくらいだ。
サドルに座れずに倒れるのではないかという不安がよぎる。
店員が見ているのでグズグズしてはいられない。
地面を蹴って、ペダルに素早く足を乗せ、サドルに座る。1分ほどでイメトレを完了させいざ本番。
やってみる。できた。そして、ペダルが軽い。
ただ感動だった。
緩やかな坂であったが、何も足に辛い負荷がかからずに自転車がスイスイ登っていく。
坂道なのに平地を走っているかのような不思議な感覚だった。
ロードバイクは私に自由をくれるかもしれない。
そう思えた。