
ついにギブソンUSAからLes Paul Custom 70sが発売されました。
これまで20年以上にわたりレスポール・カスタムはカスタムショップ製に限られていましたが、2025年9月、USAレギュラーラインとしての復活はファン待望のニュースです。
発表当初は価格が498,300円(税込)だったのが、今では528,000円に値上がりしています。
1970年代の象徴的な仕様を忠実に再現しながらも、現代のプレイヤーに向けた安定性と実用性を備えています。本記事では、そのスペック、特徴、カスタムショップ版との違いを詳しく解説していきます。
目次
Gibson USA「Les Paul Custom 70s」発売の背景

ギブソンのレスポール・カスタムと聞けば、多くのギタリストがまず思い浮かべるのは、漆黒のボディに輝くゴールドハードウェア、そして気品漂うスプリット・ダイヤモンド・インレイでしょう。1953年に初めて登場したこのモデルは、レス・ポール本人の「タキシードのようなギターが欲しい」というリクエストから誕生しました。その後も進化を続けながら、数々の名演を支えてきた存在です。
しかし歴史を振り返ると、このモデルは常に順風満帆だったわけではありません。1961年には一度シングルカッタウェイが姿を消し、SGカスタムにバトンを渡しました。けれどもファンの熱い要望に応える形で1968年に再登場し、70年代には製造拠点の移転や仕様変更が行われました。特にメイプルネックやマルチピースメイプルトップの採用は、当時のギブソンが“よりモダンな楽器”へ舵を切った象徴といえるでしょう。
そして今、ギブソンUSAから満を持して登場した「Les Paul Custom 70s」。これは単なる復刻ではなく、あの時代の空気を現代に甦らせる試みであり、同時に20年間カスタムショップ専売だったカスタムを、再び幅広いプレイヤーの手に届けようとする大きな転換点でもあります。ヴィンテージ市場で価値が急上昇している70年代モデルを背景に、この“復活劇”が世界中で注目されているのも納得でしょう。
Les Paul Custom 70s の仕様とスペック詳細

今回USAラインに復活した「Les Paul Custom 70s」は、単なる見た目の再現にとどまらず、1970年代のレスポール・カスタムが持っていた“個性”を現代に持ち込んだモデルです。最大の特徴は、マホガニー・ボディに3ピースのメイプル・トップを組み合わせた構造。オールマホガニーの重厚な鳴りから一歩進化し、明るく抜けの良いトーンを狙った当時の仕様をしっかり踏襲しています。ボディは5プライのトップ・バインディングと3プライのバック・バインディングで縁取られ、ステージ上で映える圧倒的な存在感を放ちます。
ネックはメイプル材を使用し、70年代特有のボリュートを備えたプロファイル。エボニー指板に施されたマザー・オブ・パールのブロックインレイ、そしてヘッドに輝くスプリット・ダイヤモンド・インレイは、カスタムの象徴ともいえるデザインです。22本のミディアムジャンボフレットがセットされ、伝統的なルックスに対してプレイアビリティはモダンギタリストの要求にも応える仕様となっています。
ハードウェアにはアルミ製のナッシュビル・チューン・オー・マチック・ブリッジとストップバー・テイルピースを搭載。Grover Rotomaticのチューナーはスムーズかつ安定したチューニングを保証し、ゴールドハードウェアの輝きが70年代スタイルを完成させます。さらにPosi-LokストラップロックやWitch Hatノブといった細部のパーツにまでこだわり、当時の雰囲気を余すことなく再現している点も見逃せません。
サウンドの心臓部にはCalibrated T-Typeハムバッカーを2基搭載し、ハンドワイヤード配線にはOrange Dropコンデンサーを採用。これにより、70年代のレスポール・カスタムが持つ、タイトで芯のあるトーンを現代のプレイヤーも体感できる仕上がりとなっています。
選べるフィニッシュカラー
今回の「Les Paul Custom 70s」は、スペックだけでなくカラーバリエーションの豊富さも大きな魅力です。従来のカスタムといえば、漆黒のエボニーにゴールドパーツという“タキシードスタイル”が定番でしたが、今回はその王道に加え、70年代を象徴するカラーバリエーションが揃っています。

まずは定番中の定番 Ebony(エボニー)。レスポール・カスタムといえば誰もが思い浮かべる漆黒のルックスで、クラシックな雰囲気を求める人にとって外せない一本です。

次に、渋みと深みを兼ね備えた Tobacco Burst(タバコ・バースト)。サンバーストの中でも大人びた表情を持ち、光の当たり方によって表情を変えるのが特徴です。

さらに、情熱的で存在感のある Wine Red(ワインレッド) は、70年代のレスポール・カスタムを語るうえで欠かせないカラーリング。当時を知るファンにとっては懐かしさと憧れを同時に呼び覚ます色合いでしょう。

そして、今回特に注目なのが Buttercream Top(バタークリーム・トップ)。クリーミーで柔らかい色調がゴールドハードウェアと絶妙にマッチし、クラシカルでありながらどこか新鮮さを感じさせます。
この4色展開によって、プレイヤーは「伝統を選ぶか、それとも個性を主張するか」を自分のスタイルに合わせて選択できます。単なるリイシューにとどまらず、“選べるカスタム”としての存在感を打ち出しているのは、今回のUSAラインならではといえるでしょう。
Gibson Custom Shop版との違い

「Les Paul Custom」といえば、ここ20年ほどはカスタムショップ製のみの特別な存在でした。そのため、多くのギタリストにとって“カスタム=高嶺の花”というイメージが定着していたのも事実です。では今回の「Les Paul Custom 70s(USA製)」とカスタムショップ製では、どんな違いがあるのでしょうか。
まず大きいのは 価格帯。カスタムショップ版のレスポール・カスタムは、新品で70〜100万円を超えるのが一般的。一方、今回のUSAラインは税込498,300円と、まだ高額ではあるものの、かなり手の届きやすい設定になっています。この差は、製造工程や再現度の方向性によるものです。
仕様面では、どちらもニトロセルロースラッカーを採用していますが、カスタムショップは「極薄ニトロ」で経年変化を楽しめる仕様なのに対し、USA版は光沢感の強いグロス仕上げで実用性を重視。配線についても、カスタムショップがヴィンテージパーツの再現やエイジド加工にこだわるのに比べ、USA版はOrange DropコンデンサーやCalibrated T-Typeハムバッカーといった現代的かつ安定したパーツ構成になっています。
さらに製造体制も異なります。カスタムショップは職人によるハンドメイド工程が多く、一つ一つが細部まで作り込まれます。一方、USAラインは現代的な生産技術を活かしながらも、要所要所はハンドワイヤリングを残すなど、“量産とクラフトのバランス”を取った作りになっています。
つまり、カスタムショップ版=コレクターやヴィンテージ愛好家向け、USA版=実際にライブやレコーディングで使いたいプレイヤー向けという立ち位置の違いが明確です。今回のLes Paul Custom 70sは、単なる廉価版ではなく、“現場で戦えるカスタム”という新しいポジションを狙っているといえるでしょう。
価格・発売日・購入方法

「Les Paul Custom 70s」は、2025年9月19日に正式リリースされました。価格は税込 498,300円。これまでカスタムショップ製のみで流通していたレスポール・カスタムが、USAレギュラーラインでこの価格帯に設定されたことは、非常に大きなトピックといえるでしょう。
付属品としては、持ち運びや保管に安心なハードシェルケースが同梱されます。フィニッシュはエボニー、タバコバースト、ワインレッド、そして話題のバタークリームトップの4色展開。それぞれのJANコードが公開されているため、国内正規流通を通して購入可能です。
購入方法については、イケベ楽器などの正規ディーラーや大手楽器店のオンラインストアで予約・販売がスタートしています。すでに話題性が高いため、人気カラーは早い段階で在庫切れとなる可能性もあります。特にバタークリームやワインレッドといった個性派カラーは争奪戦必至。実物を確認したい場合は、楽器店での展示状況をチェックしておくとよいでしょう。
価格面でも、50万円を切るカスタムはここ20年ほど存在しなかったため、「この価格で本格的なレスポール・カスタムが手に入る」という事実は、ギブソンファンにとって大きな魅力です。中古市場への影響や、今後のリセールバリューにも注目が集まっています。
まとめ

20年以上もの間、カスタムショップ専売モデルとして君臨してきたレスポール・カスタム。その歴史に一区切りをつけるかのように、ギブソンUSAから「Les Paul Custom 70s」が復活したことは、ギタリストにとって大きなニュースです。
今回のモデルは、マホガニーボディ+メイプルトップ、メイプルネック、そしてCalibrated T-Typeピックアップといった70年代らしい仕様を忠実に再現しながら、現代の演奏環境に適応できる実用性も兼ね備えています。ニトロセルロース・ラッカーによる光沢あるフィニッシュ、ゴールドハードウェアの存在感、選べる4種類のカラーバリエーションなど、単なる復刻を超えて“プレイヤーズ・カスタム”としての価値を打ち出しているのが特徴です。
カスタムショップ版と比べれば、コレクター性やヴィンテージ再現度では及ばない部分もあります。しかし、価格を抑えながらも「本物のレスポール・カスタム」をステージやスタジオで気軽に使える点こそ、今回のUSAライン最大の魅力でしょう。
もし「いつかはレスポール・カスタムを」と思い続けていたなら、このLes Paul Custom 70sはまさに絶好のタイミング。伝統とモダンが融合したこの一本が、次のあなたの音楽人生を鮮やかに彩ってくれるはずです。
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